ヒューズの選定方法
本記事
電源回路を作っているときに、考慮すべきがヒューズであると思います。
例えばコンセントからは日本だと100Vという非常に高電圧で電流が流れていて、回路に異常事態が起きた時は発火など重大な事故に繋がるかもしれません。
そのときにヒューズが回路を守ってくれます。今回は、そのヒューズの選定方法について解説します。
ヒューズの種類
1. 管型ヒューズ
一般的なヒューズはガラス管ヒューズである。主にエレメントは亜鉛でできていて、ガラスで包まれている。
2. 表面実装用ヒューズ
非常に小さい表面実装用のヒューズです。
3. 警報用ヒューズ
溶断表示を行うものである。
4. 端子挿入型ヒューズ
ホルダを介して接続できるヒューズのこと。
(余談) ポリスイッチ
ヒューズとよく似たような役割を担うポリスイッチというものがあります。内容は最後の文献を参考にしています。
違いとしては以下のような違いがあります。
過電流が流れると抵抗値が増加して、回路に流れる電流を制限することができるものをポリスイッチと呼びます。
ヒューズとの違いとしては
- 交換が必要ないこと。「ヒューズが切れる」ということがなくなる。
- ポリスイッチは過電流が流れたあと、徐々に電流を通さなくなる。
- 抵抗値が増加するだけなので電流は流れ続ける
点が挙げられます。これらに注意して使う必要があります。
材質は導電性ポリマーを用いたPTCサーミスタです。
導電性ポリマーは、絶縁体であるポリマーの中に、カーボンブラックやニッケルを分散させることによってポリスイッチの抵抗値が調整されるようなものです。
ヒューズの役割
ヒューズは、電子回路に異常電流が流されたときに、電流を遮断して回路を守る役割があります。
選定方法
以下のような流れで基本的には決めていきます。
1. 定格電圧
ヒューズの定格電圧(保証されている電圧)は、回路の電圧より高いものを選ぶ
これは当たり前ですが使う電圧がヒューズが安全に使える電圧よりも高ければ、ヒューズが発火したり、破壊されてしまいます。
ヒューズの役割うんぬん考える前に、これは常識なので注意しましょう。
仮に、定格電圧を超えて使った場合は溶断時のアーク放電によって再導通および素子が破壊されます。
2. 定格電流
次に定格電流を考えます。定格電流とは、溶断しない電流値です。
これも基本的には回路で流れる電流値以上の定格電流を選定します。
ヒューズの定格電流(保証されている電圧)は、回路の電流値より高いものを選ぶ
例えばMF51NRというガラス菅ヒューズは以下のようになっています。1, 2を合わせて示されています。
3. 温度ディレーティング
温度ディレーティングは、半導体製品では重要なのであるが、動作温度によって定格値以下で動作させることである。
温度ディレーティング係数を用いて、定格電流を軽減します。
あらかじめ定常時の電流を測定しておくといいでしょう。
考慮しなれば、高温時にヒューズが早切れをする可能性が出てきます。
この定額電流比を使って
回路中の電流値 <= 定格電流 * 定格電流比
になるように選定をします。
4. 突入電流やパルス電流の測定
顕密にはそれぞれ異なりますが、サージ電流、起動電流、突入電流、ラッシュ電流および過渡電流とも呼ばれます。
突入電流とは、フィラメントが温まってなかったり、コンデンサが充電しきってなかったりして、抵抗値が低く大電流が流れてしまうことです。他にも原因があります。
サージ電流とはサージ電圧にともなう自然現象で、スイッチの開閉や、落雷による誘導雷サージなどがあります。イメージとしては電流という波が、いきなり遮断しても波なので押し寄せてくるイメージです。
電源のON/OFFのときに突発的に電流が流れることがあり、それによってヒューズが切れたりします。
それをヒューズを取り付ける位置で、オシロスコープをもって測定するといいでしょう。
5. 異常電流の測定
想定される事故を擬似発生させて、その時に流れる異常電流を測定します。
参考文献
https://www.jeita.or.jp/japanese/exhibit/2014/1117/pdf/fuse.pdf